天国までの杖

 

山谷で働いて6年になる。
うちの宿には17年住んでいる人がいる。

「おれはバラシの名人なんだ。なんだってやってしまうぜ。」 
仕事のことを色々と話してくれた。

4年前病気で入院し仕事に行く回数も減った。 
3年前からは仕事に行くことはなくなった。 

去年大きな手術をした。 

「おれはこの監獄で何とか生きている。いつ生けるのだか」 

今年になって初めて杖を買った。 

「役所にいけば貰えるんだけど人がくれたものを気にいらねー」

 持っているのはオーダメイドのドイツ製。 

慣れない杖の練習がてら役所に行くと先ほど出かけて行った。 

「天国まで杖ついていけんのかね」

 

 

昔の寫眞帳より

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