かっぱおじさんのえびせん

 

 

 

最近はあまりに観光地化してしまって行く気がしなくなってしまったが、ちょっと前までは図書館に行って、みなとみらい地区を撮るのが「いつものコース」であった。港町横浜を肌で感じながら、一人至福の時間を過ごしていた。言うまでもなく私が写真を始めた頃は、すでにかつての横浜から見ると万博もありだいぶ変わったのだろうが、残り香のようなものはかすかにあった。あぶない刑事のDVDを見ると、赤煉瓦倉庫もぺんぺん草が生えていた、80年代の横浜が見れて大変楽しいものである。

ランドマークタワーから山下公園の方へ行くと、大抵かもめにあげるえさを売っているおじさんがいた。えさというのは「かっぱえびせん」の事なのだが、おじさんは観光客にそれを売りに来ていた。今思えば、寿町に暮らしていて、そういうスタイルで生活の糧を得ていたのかもしれないが、これは推測でしかない。おじさんはいつも暇そうにしているので、よく話をした。本当になんてことない話であったが。

ただ、ある時からぱっとおじさんの姿が見えなくなってしまった。
どうしたのだろう、今もってそれは分からない。

写真というものはそうして初めて価値が出るようなものだから残酷なものでもある。

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